夢のまた夢
ある日のことでございます、
わたくしが、池のほとりを歩いていますと、
どこからともなく、いい香りとお声がするではありませんか、、、
そっと池を覗き込むと、池の底には何やら街が広がり、そこに行き交う生き物は、苦もなく楽もなく、笑うこともなく泣くこともなく、ただ美しい声で何やら歌を歌ってるのです。
耳を澄まし、吸い込まれるように、わたくしはその池の中に身を捧げ、頭から空でも飛んでいるように ふわりふわりと街の中へと舞い降りて行きました。
息苦しさも、動き辛さもなく、
ただ良い香りに誘われて、水の中へと進みます。
龍の形をしたもの、亀の形をしたもの、虎や鳳凰の形のようなもの、みんなそれぞれ光の玉を抱き、話すように歌っておりました。
そこへ雲間の月の光で時を知らされたのか、皆は一斉に決められた方角へ優雅に踵を返し、戻って行きました。
時は人がまだ知らぬ掟のように、万物に定められているのです。

あぁ、もうこんな時間。
そして方位はこの星の元。
目の前にどこからともなく、大きな光が現れました。
「お前には六つの感覚しか授けなかったが、何を感じたのかね?」
わたくしは、これまでの時間を振り返りました。